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防犯図上訓練(防犯DIG)の事例 1  〜地域の課題抽出編〜

ここでは、山口大学の瀧本浩一先生(NPO法人 市民活動さぽ〜とねっと)の手法を紹介します。

はじめに

防犯DIGは、参加者が地図を囲み、その上から様々な色を塗り、書き込みを行うことで、防犯の観点から観た「わがまちのつくり(ハード面)」を発見する手法です。また、この作業を通して参加者どうしが議論し合うことで、この地域の「コミュニティや結束(ソフト面)」を確認することができます。この防犯DIGを起点に防犯マップ、自主防犯活動組織およびその活動内容を検討していくことができます。

さぁ、防犯DIGをぜひ体験してみてください。

防犯DIGの実施方法

1 用意するもの

地図、文具などを準備します。

  1. 地図(市町村などの都市計画図を活用してもよいでしょう)
  2. 文具類(透明シート、油性ペン、マーカー消し、付せん紙、ドットシール、模造紙)
文具類 地図
  • 【文具類についてのメモ】
  • 透明シート
  • 透明シートの上から書き込めば、油性ペンで書き間違えても消すことができます。シートは、家庭用品売り場やホームセンターで手に入ります。
  • マーカー消し
  • ベンジンやマニキュア用除光液も使えます。ティッシュペーパーなどに含ませて、書き間違えた部分をふきとりましょう。
  • 付せん紙
  • 意見を書き出したり、地図に貼って使います。各種サイズあると便利です。

2 地図とシートのセッティング

防犯DIGは必要な情報、議論した情報を地図の四隅に貼った透明シートに順次書き込み、必要に応じてそれらを重ねて考察します。これら書き込まれていく項目は図1に示すとおり様々です。

図1 防犯DIGでシートに塗る項目

図1 防犯DIGでシートに塗る項目

アドバイス 必要なときにめくるんだゾォー
アドバイス シートの重ね方を変えたり、シートに塗る内容を変えたりすると、それだけで新たな発見があるぞ。

3 防犯DIGの開始

1. 「まちのつくり」の確認<シート1>

  • 道路の確認
  • →主要道路、幹線道路、交通量の多い道路を茶色で塗る。
  • →見通しの悪い道路、路地、狭い道路をピンク色で塗る。
  • 犯罪の温床となる緑地帯の確認
  • →見通しの悪い、あるいは人気の少ない公園、オープンスペース(神社、空き地、広場)をオレンジ色で塗りましょう。
  • 犯罪の温床となる構造物
  • →ビル、マンションやその踊り場などを紫色でなぞりましょう。

2. 地域の弱点(危険な箇所、不安な箇所)を探そう!<シート2>

  • →犯罪が実際に発生した箇所、ヒヤリとしたり、ハットしたりした経験のある箇所、身の危険を感じた箇所に赤色マルシールを貼る。
  • →普段から不安を感じる、犯罪が起きるのではと感じる箇所に黄色マルシールを貼る。

3. 防犯上有効な施設、機能の確認<シート3>

  • 犯罪に対し抑止効果のある公的機関、施設の確認
  • →警察、派出所、消防署、市民センター等の施設に青色マルシールを貼る。
  • 防犯に対し有効な民間施設、設備等の確認
  • →子ども110番の店、コンビニエンスストア、タクシー会社等に緑色マルシールを貼る。

4. 分析、検討したい内容の書き込み<シート4>

  • 子供の通学路、生活の際に移動する経路、導線
  • →黒色で線を塗る。例)自宅× →  学校◎
  • 防犯パトロールの巡回ルートの設定
アドバイス きれいにぬるとよいのだ

4 考察のしかたと発表

今まで塗ってきたシートを以下のように重ねてそれぞれの問題点や解決策、発見したことを話し合いましょう。そして、それの結果を模造紙等に書き出して、グループごとに発表してみましょう。

  • 1)シート1(まちのつくり)+シート2(まちの弱点)
  • =防犯の観点から観た際の地域の弱点の理解
  • 2)シート1(まちのつくり)+シート3(まちの強い点)
  • =防犯の観点からみた地域の強い点の理解
  • 3)シート1(まちのつくり)+シート2(まちの弱点)+シート3(まちの強い点)
  • =(防犯上弱い点) 対 (それを抑止しようとする力)
  • →なぜ犯罪がそこで起きたのか等両者の関係、両者どちらが勝るのか?
  • 4)シート1+シート2+シート3+シート4(分析したい内容)
  • =あなたや子供が犯罪にであう可能性の検討(経路を塗ったシート4を重ねて検討)
  • =シート3では補えない犯罪に対する抑止力の検討(シート4を重ね検討した結果を塗る)
  • →下敷きにしたシート1〜3の配色、分布をよく見て検討するのがコツ!
アドバイス

防犯DIGは様々な防犯活動や関連したまちづくりにも発展していくことが可能な手法です。準備も簡単、お金もかかりません。ぜひ、防犯DIGを手始めに、まち歩きをいって地域の安全マップづくり、組織づくりをみなさんの地域で始めてみませんカァ〜。